fastapple's blog

時系列関係なく、情報を追記・分割・統合などします。ブログに記載の内容のうち、引用ではなく、私自身が記載している文章・コードなどについては、自由にご利用ください。

【書評】『昭和16年夏の敗戦』をよんで


2018年になってからブログを更新していなかった。拙い文章でも何も無いよりましだと思って、書いていきたいと思っているので由々しき事態だ。これからまた、時間を見つけて書いていきたいと思う。
タイトルのとおり、猪瀬直樹の『昭和16年夏の敗戦』を読んだ。猪瀬直樹は、2012年12月から2013年12月までの間、東京都知事をやっていた。正直、東京都知事になるまで名前を知らなかったが、都知事をやめた後の2014年7月に、猪瀬直樹の書いた文章を紹介するブログが、少しだけバズった(ネット上で拡散した)ことがあった。いつまでネット上に存在するかわからないが、そのブログ記事が以下である。
猪瀬直樹氏はいま、亡くなった妻の思い出をメルマガで書いている。これがなかなかいい。 - 見えない道場本舗
残念ながら、リンク先の文章は既に(本になったためか)読むことができないが、その文章力には引き込まれるものがあった。その文章を読むまで、マスコミにバッシングされながら辞任していく数多の政治家と同じくらいの記憶しか無かった。その後、電子書籍で『言葉の力』を読んだ。(書評はもしかしたら今度書くかも。)事実を積み重ねることで引き込まれる文章になること、天候などのちょっとした情報が文章のディティールを増すことなどが勉強になった。ただ、ある程度の年齢までに本を読んでおかないと文章力は上がらないと断言されており、自分はもうその年齢をとっくに過ぎてしまっていたが、「なら仕方ないな」と開きなおって読めるくらいに、抵抗なく読める文章だった。それで次にとりかかった猪瀬直樹の本が、タイトルの『昭和16年夏の敗戦』だった。
世の中には歴史に造詣が深い人、興味津々な人が山程いる中、自分はそれ程興味がなく、前述のような経緯で読み始めたので、途中で読むのをやめてしまう懸念もあったが、結局最後まで読んだ。
太平洋戦争前、国は総力戦を行った場合の研究のため、昭和15年10月に総力戦研究所を開所した。準備を進め、翌昭和16年4月1日、各方面から30代前半頃の中堅エリートを研究生として集め、入所式を行った。こういう人の集め方は、さながら最近みた映画『シン・ゴジラ』で人を集めるシーンを彷彿とさせる。基本的には、学校の授業のような形で所員が研究生に講義を行う。そして、昭和16年夏に、研究生で模擬内閣を構成し、実際に総力戦のシミュレーションを開始した。昭和16年8月、総力戦研究所は、開戦後、日本が負けるという結論で、シミュレーションを終えることになる。ある意味、こういった感情的な議論を排し、徹底的に緻密な議論を行えるだけの研究所を当時の日本が開所できたことは特筆に値すると思うが、結局、太平洋戦争は、同年1941年(昭和16年)12月8日にマレー作戦、真珠湾攻撃等を端緒に開戦することになる。総力戦研究所にいた研究生の人間模様や、その後の様子などが織り交ぜられて書かれているので興味深く読むことができた。
暑い夏や今日の様なGW、帰省の供に読んだらいい本かもしれない。
漠然とした今後の展望だが、太平洋戦争つながりで、『失敗の本質』は毛色が違いそうだが読んでみてもいいかもしれない。廃墟などノスタルジーを感じさせる場所が好きなので、最近話題過ぎて食傷気味ではあるものの、軍艦島などの戦争遺構を見るのもいいかもしれない。長野の松代大本営などもいつか見てみたい。(テレビで見たが、かなり大規模なようだ。)