fastapple's blog

時系列関係なく、情報を追記・分割・統合などします。ブログに記載の内容のうち、引用ではなく、私自身が記載している文章・コードなどについては、自由にご利用ください。

バースト!


バラバシのバースト!を読んだ。以前、バラバシの新ネットワーク思考について書いたが、どちらかと言えば、最初に興味があったのは、バースト!の方だった。

新ネットワーク思考の書評については以下に記載している。
fastapple.hatenablog.com

今回のバースト!のマインドマップはこれ。
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紹介されていた、「数字で世界を操る巨人たち」についても読んだが、あまり目新しさも、新しい知見もなく、時間つぶし程度にはよいが、人にすすめるほどのものではなかった。おそらく数字を操る人間の凄さを感じられる本としては、マイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ」や、クリストファー・スタイナーの「アルゴリズムが世界を支配する」のほうが面白いだろう。

今回のバースト!についても、先に新ネットワーク思考を読んでいてよかった。先にバースト!を読んでいたら、つまらなくて新ネットワーク思考は読んでいなかったかもしれない。内容としては新ネットワーク思考のほうが面白い。バースト!は2つのストーリーが1章ごとに交互に進んでいくスタイルで、ひとつのストーリーは通常のバーストに関する説明。もうひとつのストーリーは歴史の物語なのだが、歴史の物語のほうが、正直読んでいてしんどくて、かなり流し読みになった。日本の歴史ものならまだ読めたかもしれないが、あまり前提知識がない国に関する歴史をみるのもしんどい。なのでこの部分に関してはレビューできない。この歴史の部分が、バースト性と絡んでくるということなのだが。

自己組織化臨界という言葉が文中にでてくる。これについては、以下の解説が詳しい。いずれにせよ、自己組織化されたシステムでは、べき乗則が現れてくるということなのだろう。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/4533/complex/sunayama.html

どういったときにべき乗則が現れてくるのか?という問いには、結局これをよんでも明確な答えは出なかった。いや、でていたのかもしれないが、少しはなしが冗長すぎた。しかし、ひとつは、これがみそなのだが、優先順位付けを行った瞬間に、実行されるタスクにバースト性が現れてくるという。だから、メールの送信時刻にはバースト性が現れる。これは新ネットワーク思考に書いてあったと思うが、正のフィードバック、成長。この2要素がそろっていればバースト性が現れる。優先順位付けはまさに正のフィードバックだし、返すべきメールはどんどん増えるので、これは成長であるだろう。(自分のこの理解であっているのか、ちょっと怪しいが。。)

ここからはレビューというより自分の思考を書き散らしたもの。
例えば、お金のやりとりや麻雀の点数などは、長い時間をかければ誰かの一人勝ちになる。このプロセスの途中ではべき乗則が現れてくるはずだ。もっといえば、べき分布のうち、パレート分布に従うだろう。

人間行動のバースト性が、そのままべき乗則であるのだが、例えばブラック・ショールズ方程式は、その前提をべき乗則においておらず、価格の変化率を正規分布としている。
wikipedia:ブラック–ショールズ方程式

しかしこれは端的にいって、前提が間違っている可能性が高い。実際にはバースト性を持つ分布、パレート分布などの可能性が高いと思われる。

その他、強く思うことは、待ち行列理論でも、例えば、M/M/1モデルなどは、客の到着がポアソン分布に従うことを前提としている。だが、この仮定はおそらく甘いだろう。長い目でみると、客の到着はバースト性をもつはずであるので、やはりパレート分布などを仮定することが必要になる気がする。そうなってくると、ある局面では明らかに窓口の数。つまりリソースが不足することになると思う。

ようするに正規分布は便利すぎた。しかし、世の中には正規分布に従わないものも多い。せめて、ポアソン的かパレート的か。というところまでの調査があるなら、もっと変わったものになるものは多い気がする。