福清話者の人と話していると、普通话で話すときもいくつか音が福清なまりになっていることがわかる。ゆっくり話してもらうと北京語の音で話してもらえるが、しゃべりが早くなるとなまりが出てくる。このなまりから、そもそも音を構成している認識の境界線が出てきて興味深い。ここに音が普通话と比べてどのように異なるかを見ていきたい。
- 語頭以外のh音はなくなる
h自体が舌をそる音という認識なのだが、福清話者はそり舌音のhを発音しないか非常に弱くなる。shiは、siと同じ発音となる。これは中国語のsiの音であり、消してxiにはならないので注意が必要である。日本語耳ではよくsiは(スー)と聴こえるのに、なぜshiだとシーに聴こえてしまうのか疑問に思う場合、実際舌をそらせて、si(スー)の音をだしてみると、(シーのように聴こえてくるのがわかる)
chiもciと同じ発音となる。
また、shuoという場合、前述のように、suoという音になるが、さらに、θuoのようになる場合がある。
この、h音がただ抜けるだけでなく、sが絡んだときにshがθになる場合についておそらくある程度パターンがあるが、まだよくわかっていない(課題)。
- lのn化
快乐は、福清話では欢乐という。ここで、huan1 le4 が北京語だが、福清では、huan1 n(l)e4 となる。元々lの音が前のnにつられてnに変化する。
nの方がlより強い音( n > l ) であり、強い音が前にくると、それより弱い音は影響を受ける。と覚えよう。なお、nでなくngの場合も同様である。
実は、nをlで全て置き換えてしまうか、或いはlをnで全て置き換えても通じるようである。
- rのn化
バレンタインは情人节 qing2 ren2 jie2 だが、福清では、 qing2 n(r)en2 jie2 となる。 rの音が前のngにつられてn化する。
つまり、 ( n > r )である。
- r化音はないが・・・
福清は南方なので当然r化音はないが、例えば、没事儿 mei shi er のような儿 er の部分で、儿を、eと発音する。なおこのeの発音は日本語のエに近い。
没事儿 mo lai e となる。